IoTを考える(その3)

IoTでは、Things(物)にセンサーがついてデータや情報を取得し、インターネットを経由してそれらを移動させたり、蓄積させたりしながら、価値を提供していくことになります。

つまり、物の価値がこれまでとは大きく異なることを表します。
 
これまで、モノは、そのものの持つ機能優位性で他社商品との差別化を図ってきました。

つまり、単独の価値創造を行うというビジネスモデルでした。

しかし、これからのモノ(製造業)の世界では、「サービス」「ハブ(Hub)」をキーワードとするビジネスモデルが主流になってくるでしょう。
 
形のあるモノは、販売されて消費者の手に渡ると、基本的に所有権は消費者側に帰属します。

その結果、消費者はモノに対する保管やメンテナンスの責任を自然と持つようになります。

もちろん、メーカーは保証期間の間、基本的には壊れないことを保証しますし、万が一支障があった場合は無料(または低額)で保守することを約束します。

言い換えれば、保証期間を経過すると、品質については保証しなくなります。
 
IoTでも同じ考え方が通用するでしょうか。おそらく無理でしょう。IoTはモノではなく、サービスです。

 
 ・お客様は「消費者」から「使用者(ユーザー)」に変わります
 ・使用者が支払う代金は「使用料」になります
 ・使用料を支払った期間はいつも使えるように保証してもらいたいのであって、「保証期間」という概念は無くなります
 ・メンテナンスをするのは使用者ではなく、サービス提供者側です
 ・IoTの場合、多くの企業が関わりますが、メンテナンスの切り分けや責任範囲についての取り決めと運用が複雑になります
 
従来のモノ売りの感覚では、IoTビジネスが成功しないのは火を見るより明らかと言えます。

 

 
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 <自己紹介>
   日本クイント株式会社
   代表取締役 最上 千佳子
   
   ITSM、リーンIT、ソーシングガバナンス等、ITをマネジメント
   という観点から強化しビジネスの成功に貢献するための、
   人材育成と組織強化のコンサルティングに従事。
   参考:「資格Zine」連載(http://shikakuzine.jp/author/15)
   
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